このブログについて

San Franciscoでの生活やGUI/グラフィックデザイナーとしての仕事、愛車トライアンフ・ボンネビル、自転車、写真、コーヒーなどの話題を中心にだらだら書いています。最近は、Flickrの方に載せていない、スナップ等を中心にした写真ブログになってます。

3/13/2009

ぐりぐり動くんです。


ちょっと会社ネタ/技術系/コンピュータグラフィックス系のお話。これはシリーズでちょこちょこしゃべっていこうと思います。

やっとこうちの会社もステルスモードを脱し、ある程度情報を公開できるようになったので、早速いろいろなサイトで取り上げられております。

有名どころではThe Wall Street Journal, Engadget, GIZMODO, CNET News, PC Magazineなど。


ここで簡単にCaustic Graphicsが開発しているものを説明します。

リアルな3Dアニメーション映画などを見るとわかると思いますが、コンピュータで描かれたシーンをリアルに見せるには、目に入ってくる光をリアルに見せる必要があります。目に入ってくる物は、なんらかの形で光を浴びて、それが反射してカメラから目に入ってくるわけです。

光源からいろんなものに反射したり吸収されたり、乱反射したりして飛び回る文字通り無数の光を追うことで、リアルな影やボケやキラキラや、おいしそうなソフトフォーカスされた食べ物や、リアルなトランスフォーマーのボディや、周りの風景にとけ込む新しいビルの完成予想図等の、コンピュータグラフィックスによる再現を可能にする技術がレイトレーシング(ray-tracingもしくはraytracing)です。

この技術は、非常に高度な計算を必要とするため、最終的に100%のクオリティの画像を書き出すのにものすごく時間がかかります。どのくらいかかるかというと、一般的に普及している高速なデスクトップコンピュータ一台で、有名な映画スタジオの作品の1フレーム(1秒間は24フレームでできています)を書き出すとすると、約6時間かかったりするわけです。

これを、うちの会社が開発している技術を使うと、現時点で20倍、来年にはなんと、200倍のスピードで処理できるようになるのです。マジです。

この技術を使うと映画スタジオなど大きな会社でなくとも、レイトレーシングを簡単に低予算で扱えるようになります。例えば建築事務所やインテリアデザイン業において、配置やデザインや色や素材をかえて、文字通り一瞬でフルクオリティの完成予想図をクライアントにみせられるようになります。映画監督は、ハリボテのような簡易処理されたキャラクターではなく、リアルなライティングとリアルなキャラクターを使って自由に構図の変更や「撮影」その取り直しができるようになります。


今週記事が出てから、いろいろなサイトで記事を見た人の間で議論が交わされています。中には、よくありがちな研究によるセオリー上の数字で、本当にそんなことできるはずがないと思っている人も多いようです。僕が上のカードのプロダクトショットを制作したのですが、「あれはただのCGによるモックアップで、本物は存在しない」というような憶測まででてきました。笑。

それほど「非現実的」なまでのスピードを可能にする技術なのですが、本当にあるんです。ものすごく近い将来、あなたのデザイン事務所でも使われてるかもしれません。ぐりぐり動くんですよ、ほんとに。

2 comments:

momoko said...

むむむ。これはすごい。ピクサーとかはどんな反応をしてるのかな?
それはそうと、非現実が現実に近づいて、ついには追い越してしまったら、人はそれでも非現実に興味を持つのだろうか?

Sug said...

誰としゃべってるかっていうのは、トップシークレットなのですが、いろんな会社や人たちと結構突っ込んだお話をしております。

「非現実が現実を追い越す」は「非現実」の定義によるでしょうね。「非」とつく以上、それは現実ではないものな訳で、仮にそれが3Dグラスをつけてみる映画のレベルを超えたとしても、スタートレックのホロデッキみたいなものができても、やっぱり人はより凝った「非現実の宴」を楽しむために新しい技術や表現方法を追求するだろうし、それは人の業であり美である「性」の一部な気がするよ。

レイトレーシングをはじめとする映像技術は、現代の美術におけるルネッサンスともとれる方向性だと感じます。多様性を内包する過渡期を経て、その多様性が淘汰されつつ限られた数の完成形へと収束し、そしてまたそれが崩れて次の世代に移っていくんじゃないかなと思います。

Post a Comment